世間では、働き方改革!と話題になり、企業では業務の見直しが進んでいます。
実は、教員の業務も簡素化が動き出しているんです!
国が、「教員がやるべき業務」と「教員がやらなくてもよい業務」を、明確化しています。
では、教員のどのような業務が改革されるのでしょうか?
教員の負担軽減をすることはできるのでしょうか?
国が明確にしている教員の業務軽減を知っておけば、教員の働きすぎを止めることができます。
中教審がまとめた教員のやるべき業務と教員がやらなくてもいい業務について、簡単にまとめました。
教員の業務軽減について勉強してみましょう!
中央教育審議会の略。文科省におかれている審議会である。教育制度や学校の振興について話し合われる。
中教審が「学校・教員が担う業務の明確化・適正化」をまとめた経緯とは
働き方改革推進法が制定されたことがきっかけ!
2018年に通常国会で「働き方改革推進法」が成立し、時間外労働の上限が設けられるようになりました。
つまり、企業が社員に残業がさせないように配慮する、時間外に業務を行うことを制限するなど、働いている人がしっかりと休みを取れるようにした法律が成立したのです。
また、この働き方推進法は、2019年4月から施行となり、労働時間の把握を「客観的で適切な方法で行わなければならない」とされています。この法律は、国公私立すべての学校の教員に適用されます。
だから、教員は、勤務終了時間を過ぎたら、時間外に働く必要はないのです。


もう帰るのかね? まだ夕方の5時だぞ。
明日の会議の準備も残っておるぞ。

勤務終了時間を過ぎたので、今日は帰ります。
お先に失礼しまーす。
しかし、実際に勤務時間外に働いている教員がほとんど。歯止めが効いていない。

学校の先生は、教科指導のための教材研究や生徒指導、学校行事、部活動、会議など、業務の内容は広範囲になっています。
法律が成立したにもかかわらず、現場では革新的な業務改善にはいたっていません。
結局は、「子どものために」として、教員が自発的に業務をしているとされている場合がほとんどです。 現在、勤務時間外の業務は、教員のボランティアやサービス精神で、働いているということになります。まったく歯止めが効いていません。
また、教員の時間外の勤務手当に問題があります。
もし、手当が残業すればするほど、残業代が増えていく仕組みであれば、時間外勤務のブレーキ役を果たす果たす役割があります。
例えば、残業をすればするほど、残業代を払わないといけない場合なら、管理職が「学校に残って仕事をしすぎてはいけない!」と、口うるさく言うようになります。
しかし、教員には、「給特法」が適用されています。教職調整額が、教員には一律に支給されています。 教員が残業をいくらしても、残業代がかさばることはありません。
これまでの管理職は、時間外の勤務を抑制するような動きはありませんでした。
教員の勤務態様の特殊性をふまえて、時間外勤務手当や休日勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4パーセントに相当する教職調整額を支給することを定めた法律。
そして、その歯止めが効かないまま、教員は多忙になり、複数の事情が重なって、年間5,000人の教員が心の病で休職をしてます。
明らかに、業務改善の必要があるのです。
「学校・教員が担う業務の明確化・適正化」とは
中教審の「学校における働き方改革特別部会」(2017年12月)では、学校や教員の働き方改革について議論されました。

基本的に学校以外が担うべき業務
- 登下校に関する対応
- 放課後から夜間などにおける見守り、児童生徒が補導された時の対応
- 学校徴収金の徴収・管理
- 地域ボランティアとの連絡調整
学校の業務だが、必ずしも教員が担う必要のない業務
- 調査・統計等への回答など(事務職員など)
- 児童生徒の休み時間における対応(輪番、地域ボランティアなど)
- 校内清掃(輪番、地域ボランティアなど)
- 部活動(部活動指導員など)
教員の業務だが、負担軽減が可能な業務
- 給食時の対応(学校担任と栄養教諭等との連携など)
- 授業準備(補助的業務へのサポートスタッフへの参画など)
- 学校評価や成績処理(補助的業務へのサポートスタッフの参画など)
- 学校行事の準備・運営(事務職員等との連携、一部外部委託)
- 進路指導(事務職員や外部人材との連携・協力など)
- 支援が必要な児童生徒への対応(専門スタッフとの連携・協働など)

本当に働き方改革につながるのか?問題点とは
一番の問題点となるのは、教員の多忙化が問題となっていることが、まだまだ浸透していないことです。
教員の多忙化は単なる労働問題ではなく、教育問題としてとらえる必要があります。
広い世間からは「学校の先生と同じくらい多忙な企業は他にもある」といった声があります。
しかし、教員は一般企業とは違います。先生の負担は子どもへの学力低下につながりかねません。
実際に、授業以外の仕事に追われ、授業の準備や教材研究がぎりぎりということもあります。
でも、保護者の中には「最近、子どもの登下校の様子が気になる。朝、先生たちに校門の前に立ってほしい」という要望が出ることも珍しくはないです。
実際に学校現場で働いている経験からも、「先生は忙しいと思いますが、」と口では言いつつも、教師と大きな負担となることを要望する保護者は結構います。
先生の多忙化が問題に直面していると本当に理解している大人は、まだまだ多くはないと感じることがあります。
実際の事例から考える学校の働き方改革
私が勤務している愛知県での、負担軽減が行われている例を紹介します。 実際の市町村や学校によって異なります。一例です。
- 18時以降の留守番電話対応
- 夏休みの学校のプール設備解放の廃止
- 夏休みの学校閉校日の設定
- 運動会半日化
- 朝の部活動の廃止
- 学校行事の縮小化・簡素化
まだまだ革新的な負担削減とまではいっていません。 今までやってきたことを、なくすことよりも一部を減らす、時期をずらすといった方法がまだ多いです。
革新的な負担削減ができない一番の理由は、保護者の反応が怖いからです。
保護者が「うちの子がせっかく楽しみにしていたのに、なぜなくなるんですか」などクレームを受けた場合、なくした理由を「教師の負担軽減のためです」という説明だけでは、保護者が納得してくれない可能性が高いです。
やはり、教師の負担は単なる労働問題ではなく、教育問題として、深刻化していることをさらに世間に浸透させる必要があります。
保護者のクレームに悩む方はこちらもお読みください。
働き方改革推進法が制定されてから、今、学校の業務は大きく見直されようとしています。 教員がやるべきことを精選し、何が子どものためになるのかを見極める必要があります。 つまり、学校の先生とはどんな仕事なのか?先生という存在は子どもをどう成長させるのかに繋がります。 その答えは、学習に重きを置く。 「先生は授業で勝負!」「先生の本業は部活動ではなく、授業!」と言われるように、先生がおもしろい授業、分かりやすい授業ができるように専念できるようにするべきです。 そして、あとの余分な負担はどんどん減らすべきです。 もちろん、教師は学習面ばかりではなく、子どもへ質の高い教育を行うには、子どもとの信頼関係を築く必要があります。休み時間に一緒に遊んだり、学校行事を盛り上げたりすることも教師の大切な仕事です。 ただ、今の学校現場では学習以外にも、学校の先生がやらないといけないことが多すぎます。 「子どものために」と気持ちの面だけでやってきた先生の力も限界です。 昔よりも、保護者のクレームや先生を厳しく見る風潮が広がっており、先生がやるべきことが拡大してきました。 先生が多忙⇒充実した教育活動が行えない⇒子どもが荒れる⇒先生が多忙になる このループが続いてしまいます。 何が子どもためになるのかを、教員も保護者も、世間もきちんと見極めることが大切です。 私、桜木きよは、Twitterでも日々、教員を笑顔することや、教員の日常や多忙についてのつぶやきをしています。 ぜひ、Twitterでフォローしてください。よろしくお願いします。 まとめ
勤務終了の時間だな。
お先に失礼しまーす。