
授業中の子どもの「分からない」は、指導のチャンス!
子どもの「分からない」に耳を傾けると、授業の指導力がアップします。
- 子どもに何を聞いても「分からない」としか答えずに、子どもが何を分からないのかも分からない。
- 1人の子どもが「分からない」と答えると、他の子どもも、分からないと言い出してして、授業が止まる。
- 教師に聞かれても、「分からない」と答えれば良いという雰囲気が、学級の中にできてしまう。
子どもの「分からない」が多数になると、教師が困ってしまう場面を、教師なら誰でも経験したのではないでしょうか。
そこで、この記事では、教師目線で、子どもが「分からない」という授業の悩みを解決します。

具体的には、「子どものサインを見極める」、「授業展開の仕方」から、子どもへかける言葉、親への相談についてまで、書いていきます。
授業で子どもの「分からない」に困っている先生は、ぜひお読みください。
明日からの授業で生かすことができますよ。
「分からない」は何かのサイン
授業中に、子どもが「分からない」と言うことは、何かのサインです。
子どもが、なぜ「分からない」と言うのかを見極める必要があります。
- 学習内容が分からない
- 前学年や前単元で習った既習事項が分かっていない
- 話を聞いていない
- 「分からない」と言えば、先生からの問いかけに答えなくても良いと思っている

①学習内容が分からない子どもへの指導
授業中に子どもが「分からない」と言います。
しかし、「分からない」という子どもの発言を決して攻めてはいけません。
なぜ、分からないというのか、子どもの考えや行動を分析しましょう。
子どもが、何が分からないのか、どこまで分かっているのかを、先生は把握する必要があります。
子どもが分からないと言ったときに、先生が「どこが分からないの?」や「どこまでは分かるの?」、「分からないところが分からない?」と、子どもを助けたいという気持ちで聞いてみましょう。
先生が子どもに聞くことで、子どもの学習状況を把握することができます。
1人が分かっていなかったら、周りの複数の子が分かっていない状況である可能性があります。
1人の「分からない」というサインを先生がつかみ、全体にもう一度説明をしたり、他の子に説明をさせたりすると、授業の内容が分からない子が理解を深めることができます。
また、分からないと言った子にも、「あなたが分からないと言ってくれたおかげで、他の人がもう一度理解を深めることができたね」と、分からないと言った子を褒めることができます。
②授業に身が入っていない子への指導
子どもが授業へのモチベーションが低い場合、すぐに「分からない」と答える子どもがいます。
先生の話を聞いていない子は、すぐに「分からない」と答えて、聞いていなくても先生が教えてくれるだろうと、甘えることがあります。
先生は、話を聞けない子に向けて、目を合わせて話が聞けるように、顔を上げて話を聞く習慣づけをさせる指導が必要です。
また、特に気になるのは、先生の問いかけに対して、答えるのが面倒くさいと思う子への指導です。
まずは、先生が面倒くさそうに分からないと言っている子のノートやテストを見てあげましょう。
どの程度の学力があるのかを把握します。
分かっているのに発表しない、面倒くさそうに答えるというのであれば、授業とは別に個人的に話をする必要があります。「○○さん、分かっているのに分からないと答えるのはなぜ?」、「○○さんが答えると授業がさらに盛り上がるし、○○さんの勉強にもなるよ」と、声をかけてみましょう。
また、授業の様子やノートの取り方を見て、親に相談するのも一つの手です。
学習内容を理解する⇒分かっているのに、「分からない」と答える⇒学習内容を深く考えようとしなくなる⇒授業が分からなくなる
悪循環のサイクルに入りかけている状態です。今後、分かっているのに分からないと答え続けると、子どもの授業へのモチベーションが低下し、授業に身が入らなくなります。
「お子さんは授業の様子やノート見ても本当によくできています。でも、私(先生)が問いかけると、分からないとすぐに言うんですよ。本当にもったいない。これからどんどん伸びる時期なのに。このまま分からないと言い続けると、授業に身が入らなくなってしまうのではないかと、心配しています。」
と、親に話すときは、『褒め』+『今は良くても、これからが心配』のセットで話をもちかけてみましょう。「親が気付いたときには、子どもが授業の内容を全然分かっていなかった」ということを防ぎたいという気持ちをもって話してみてください。
「分からない」は、分かったふりよりはかなり良い状態!

まずは、「分からない」と答える子についての子ども理解が大切です。
なぜ、「分からない」と言うのか。
学力の面から分からないと言うのか、気持ちの面から分からないと言うのか。
分からないという子の背景をつかみましょう。
また、「分からない」と言えることは素晴らしいことです。
高学年になると、子どもは周りの目を気にして、分からなくても分かったふりをするようになります。分からないことに対して、どこが分からないのか、教師が状況をつかみにくくなります。
子どもが「分からない」と言っているときは、指導のチャンスととらえて、子どもの気持ちに寄り添って、分からないところを聞いてみましょう。
クラス全体に「どこか分からないところはなーい?」と聞いてみたり、「分からないところがあったら、教えてね」と声をかけたりすることも大事な手段です。
複数の子どもが「分からない」と続けて言って、授業が止まってしまったときは、後から個別指導のチャンス!
「授業の時、分からないって言ってたけど、大丈夫だった?、どこが分からなかった?」と、親身になって聞くことで、子どもとの信頼関係が築けるようになります。
授業で「分からない」という言葉が出てきたらこうしよう

- 自分の言葉で言い換えさせて確認する。
- 図や表を使って、分かっているかどうかを判断する。
小学2年生 算数「かけ算」の時間













3×5がなぜ間違いなのかを説明することに、学び合いの時間を費やしてしまうと、説明する側と聞く側に分かれてしまいがちです。
どうしたら「分からないこと」を自分たちで解決できるかという手法を投げかけると、式だけでなく、図と一致している考えを探し出そうとします。
「あめは3つしかない」という言葉から、3の5つ分ではなく、5の3つ分という考えが導き出され、図とも一致していることで課題を解決できたことに気づきます。

学びは「分からない」から始まる!子どもは授業でいつも初体験!
授業中に、「分からない」という言葉がよく出てくるのであれば、子どもが「分かった!」「できた!」と思えるような戦略が大切です。
子どもの「分かった!」「できた!」という喜びは、子どもにはとても大きいです。つい、先生や周りの人に見せたくなるくらい嬉しいものです。
子どもにとって、毎日の授業で体験することは子どもの人生で初めて学ぶことばかり。
ワクワク、ドキドキ、ん?気になる!といった気持ちをもたせる戦略をもって、先生は授業に臨みましょう。
戦略を立ててもうまくいかないときはあります。
しかし、それは先生が反省すればよいのです。授業は先生と子どもが協力して作り上げるもの。
子どもの「分からない」は何かのサイン。子どもが何を考えているのか、どこまで分かっているのかを、先生は見つけてあげてください。そして、親身な気持ちで子どもに勉強を教えてあげましょう。
子どもの「分からない」をうまく活用すれば、子どもと分かる授業を作り上げることができます。
授業では、子どもたちの反応をよく観察して、分からないを克服する戦略を立てると、授業が楽しくなりますよ。
- 子どもの学習の定着状況を把握する
- 分からないところを見つけることができる力を養えるように戦略を立てる
子どもの「分からない」を指導のチャンスととらえて、明日から、授業前には、子どものサインと戦略を意識して授業をしてみてください。